朝に聴く

 

先週は始発での出勤があった

と聞くとかなりブラックな企業と思われるかもしれないけれど、早い出勤の日はその分昼過ぎには帰れるのでまぁそう心配しないでいただいて

 

家を出る頃はまだ薄暗くて、駅がある方角の東の空が少し白んでいる程度だった

テレビの天気予報では暖かくなる日だと言っていたのに結構空気は冷たくて、買ったばかりのトレンチコートの中で身を縮めながら駅まで歩く

「通勤路にパン屋さんがあると、朝早い中でも香ばしい匂いが漂ってきて、今日も頑張ろうと思えるから」という理由で駅前にパン屋さんがあるといいなと引っ越す前ボンヤリ思っていた

実際選んだ最寄り駅は改札を出てすぐにチェーンのパン屋さんがあるのだけれど、その日はさすがにまだ店内も暗くて誰も来ていない様子だった

 

ホームに滑り込んでくる始発電車に乗り込むと車内は思ったより混んでいて、始発出勤だ!大変だ!などと騒いでいた自分が恥ずかしくなった

と同時になんとなくこの人たちも出勤が早いの大変ですね、、と些細な仲間意識も芽生えた

 

急行電車に乗るために一度電車を降りる

そこで視界の右側からすごい眩しい光を感じた

日の出だ、朝焼けだ

 

 

日の出って普通に生活していたらそこまで頻繁に見ることはないけれど、数週間前の旅行でみた熱海の日の出は記憶に新しかった

 

奮発して泊まったホテルのオーシャンビューの露天風呂に朝早く起きて入って見た日の出

だんだん明るくなっていく空に、色がついていく雲に、水平線から顔を出した眩しくてオレンジの朝日に、30分以上お湯の中で待ってかなり暖まってしまった身体も忘れて見入ってしまった

太陽だけ強い光を放っていて、なんだか空にあいた丸い穴から外の光が入り込んでるみたいだなと思った

清少納言が春はあけぼのと詠んだ意味がなんだかすごくわかる気がした

 

 

 

そしてその3週間後、東京の急行電車を待つ駅のホームで、同じような時間帯の日の出を見た

露天風呂の中で春はあけぼのだわとか思った風流な感情とは程遠く、頭の中でCreepy Nutsの『朝焼け』のイントロが流れた

歌詞は細かくわからないのでイントロだけエンドレスで

急行電車に乗り込んでからイヤホンを耳につっこみ、『朝焼け』を聴いた

 

「あぁ このまま夜が明ければ また一つ 終わりに近づくだろう」

 

サビのフレーズを聴いて笑ってしまった

私は終わりに近づいてしまうのか

 

とりあえず出勤前に聴く歌ではなかったなと思って、一曲聴き終わってから朝の情報番組で耳にするaiko東京スカパラダイスオーケストラのコラボ曲を選んだ

朝はアップテンポな曲に限るなぁと思いながら自動販売機でブラックコーヒーを買って、ブラスバンドの音に励まされながら、足取り軽く職場へ向かった

 

歩きながら、今回はよくなかったけれども『朝焼け』はいい曲なので、聴く時間を考えて今後は聴いていこうとも思った