おさげを引き抜く

 

小さい頃、捨てる予定のデニムの裾を使って、着せ替え人形のスカートを作ったことがある。裾の、ちゃんと折り返して処理されている部分を切り取って後ろにスナップボタンを縫い付けただけのとても簡単で簡素なものだった。その際、ふとなにか模様をつけたくなった。周囲にあった洋服や雑貨の刺繍を真似して、完全に我流でワンポイントの小さいハートを裾に刺繍した。ガタガタのスカスカだったけど、割としっかりとハートになっていて、親を驚かせて鼻高々だったのを覚えている。

今思えば、きっとあの頃から刺繍に興味はあったのだろう。あの時の我流の刺繍が、"サテンステッチ" という立派な縫い方であったこと、そしてあのやり方はあながち間違っていなかったこと、他にも色々と縫い方があること。これらを知ったのは、本当に最近だ。

ずっとやりたかった、刺繍を始めました。

別に始めようと思えばいつでも始められたし、なんでこんなに後回しにしていたのかもよくわからない。まぁ最近の後回しの言い訳は、まだフェルトマスコットのモルカーのキットがいくつかやり切れていないから、だったけど。まだシロモとポテトしか完成していないからね、、、でもなんとなく、ずっと興味はあったしやってみたかった。だから今年のやりたいことリストには入れていたし、一通りのキットは買ってあった。後回しにしていたのに、舞台だけは整えてしまうのが私の良いところでもあるし、悪い癖でもある。

先週の休みの日。なんとなく早起きをして、洗濯やら何やらを一通りしてふと時計を見ると、やりたいことは大体クリアしているのに時間が有り余っていた。普段ならそこで溜まっていた録画を消化したり、うたた寝をしたりするところだったが、その日は違った。たぶん早起きをしたことによって、モチベーションがアゲアゲだったのだと思う。

やるか、刺繍を。

布、刺繍枠、何束もの刺繍糸。これらが買った袋のままカラーボックスの中に仕舞われている。しまった場所は理解していたのですぐに取り出した。前から目をつけていてフォローしていた刺繍作家の、初心者用の本を開く。これも、刺繍を始めるために買ってあったもの。過去の私に整えられていた舞台で、どんどん幕が上がっていく。

とはいえ、最初に刺繍糸の整理の仕方から始めることにした。適当に何本か無理やり取ると、大変なことになるのを知っているからだ。手順通りに進めて、糸を切ったり折り畳んだり。最後は三つ編みにする。

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カラフルなおさげが何本もできた。ちなみにこの色合いは、好きなもの、好きなキャラに加えて「なんかお花が縫えたら可愛いんじゃない?」という軽いノリで選んだもの。お花のイメージは特にない。このおさげの上の輪っかから糸を抜くと、絡まらないんだとか。実際シュッと抜けるようになってちょっと気持ちがいい。

針を片手に、最初の方の基本のステッチから進めていく。思ったより苦戦はしない。線のステッチから、面のステッチへ。ここであの "サテンステッチ" が登場する。細かいコツはあれど、大枠はあのデニムに縫ったハートからかけ離れてはいなかった。周りの刺繍を、しっかり研究したんですね、、、偉いよあの頃の私、、、、

サテンの次段階で出てきたのがロング&ショートステッチで、大抵の面の刺繍はこの縫い方で出来ている。つまり、これをマスターすれば割と色々と縫えるのだ。でもこれがなかなか粗が目立つ。

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ウンウン言いながらとりあえずパンダの顔を縫い、その後コツを意識しながら数日かけて、サテンステッチとロング&ショートステッチを駆使して縫い上げた推しポケモンマリルです。

うーん、これはどうなんだ、、、?

とりあえずまだまだ始めたてではあるけれど、完全に頭を無にして進めることができるので今のところかなり楽しい。頑張って上達して、人にプレゼントとかできるくらいの腕前になるのが当面の目標です。