泡から学ぶ

知らない街での約束の時間まで1時間半ほどあり、どうしたものか、、と駅を出てすぐのところにコメダ珈琲店があったので、かなりのちょうど良さに喜び勇んで入店する。大手のコーヒーチェーンはやはりどこかファストフード感が個人的にあり、用事が済んだらすぐに出なければいけないプレッシャーを勝手に感じて飲食が済んだら1人利用の場合はすぐに出てしまう。その点、コメダ珈琲店とか星乃珈琲店とかはしっかりとした喫茶店とチェーン店の合いの子だから(?)か、なんとなく1人でものんびり利用しやすい気がする。コメダなんて飲み物大きいし、なんならこのお店は1人用のカウンターもあってなおさらよかった。家の近くに欲しいくらいだ。本でも読んで時間までのんびりしようという魂胆だ。
メニューを開いて目に留まってしまうのは、やはり長靴型のコップのクリームソーダ。小さい頃からクリームソーダが好きで、よく母親とサイダーにメロンシロップを入れて、バニラアイスを乗っけたりしていた。大学の時に知ったコメダのこの長靴クリームソーダに並々ならぬ憧れを抱いており、初めて友達と利用した時に意気揚々とこのクリームソーダを頼んだのだった。今回も他の候補と見比べてもやはりファーストインプレッションが勝った。本でも読んで、、というつもりで入店したのに、ガッツリコメダ珈琲を楽しむメニューを注文してしまったので出していた本を鞄にしまった。
運ばれてきて、どうしてもニコニコとしてしまうビジュアル。

よく見ると、メロンソーダ部分がソフトクリームにくっついていない。氷と空気の層が、そこにはあった。もう少しメロンソーダって入ってるものじゃなかったっけ?と思いつつ垂れそうなソフトクリームを掬い、ストローをぶっ刺す。
とはいえ、クリームソーダにはこの氷の層が必要なのはよく知っている。何故なら一度、やらかしたことがあるからだ。家族で行ったちょっとリッチなビュッフェ。横を通ったお姉さんがクリームソーダを手に持っており、あれ?となる。よく見るとドリンクコーナーにメロンソーダがあって、その隣にデザートコーナーの自分でサーブするタイプのソフトクリーム機があった。これは、、、、!とこのアイディアを家族の誰にも言わずに驚かせてやろうと席を立ち、いそいそとグラスにメロンソーダを注ぎ、ソフトクリーム機のレバーを引いてアイスの先がソーダの中に入った瞬間。緑の泡がぶしゅわあああと沸き立ちグラスから溢れ出した。なす術もなくアワアワと近くにあった台拭きで手とグラスを拭く。ちょうどいいところに手洗い場があったので救われた。ワタワタと後処理をしながら家族を振り返ると、一部始終をしっかりと見られていたようでみんな大いに笑っていた。恥ずかしかった。席に帰る時にクリームソーダを持っていたお姉さんの卓の近くを通ったので、なんで彼女はうまくいったんだ?と思い見ると、氷をたくさん入れていたのだった。そこで学びを得た。実践を通して学びを得る、校外学習のような時間だった。
というわけで、まぁ氷をたくさん入れてアイスから守ってるんだろうなぁと思いストローでソーダを吸う。その瞬間、アイスの層を通ったストローからアイスが流れ出し、緑色に白が混じる。ブクブクと沸き立つ緑色の泡。ソフトクリームの淵から溢れ出す。
なるほど、空気の層があってもうまく飲まないと結局は溢れるんだな。そしてまた、学びを得ることとなった。
今回はコースターを緑色に染めたものの、それがすべてを吸い取ってくれたので大事故になることはなかったのだった。めでたし。