2022-01-01から1年間の記事一覧

雪に乗る

「よいお年を」その言葉を街中で聞く時期になった。大寒波列島直撃。粉雪が舞う中、大きなスーツケースを転がしながら駅へ向かう。車を使って空港まで行くつもりだったけれど、冬用タイヤを履かせていないので断念。凍った道をギュルギュルと音を立てて曲が…

もうええわ

なぜか暖房をつけないで冬を過ごしている。もう半ば意地ですらある。着る毛布と履く毛布を装備し、モコモコしながら室内で過ごしている。昨日今日は雪がちらついていた。ドアを開けた時に青く晴れているのに雪が舞っていて、数秒思考が停止してしまった。青…

轍の途中

年の瀬が近づくにつれて、なんとはなしに手帳の去年書いたやりたいことリストを開いては項目を確認して閉じる、、というのを繰り返している。繰り返しているだけなので、チェックが増えることはほとんどない。それでもなんとなく開いてしまう。 年に一度の大…

将軍きたりて風を吹く

天気予報で、この日を境に一気に寒さが増して冬が来る、、、とは一週間前くらいから聞いていた。だから覚悟はしていた。起床時には特に感じなかったけれど、一応最近の格好よりは暖かいかな、、、というくらいのレベルでドアに手をかけた。 開けた瞬間に全て…

古巣というには短すぎて

一週間ほど、前の部署の応援にいった。初めての出張だ。前の部署を離れてから、ちょうど四ヶ月経っていた。少し緊張しながら職場に出向いたものの、「昨日まで普通にいたみたいだね」と言われるほどお互いに変化を感じなかった。髪を切るとか染めるとか、も…

ぺちゃんこ

なんとなく、小さなことをずーっとモヤモヤ気にしたまま夜勤明けの朝を迎えた。他人の言動に感情が左右されやすいのでこういうことは結構ある。他人の考えなんて読めないし、私自身が気にしすぎなこともあって大体は大したことないケースの方が圧倒的に多い…

孔子の受け売り

「友有り、遠方より来る」と言っていたのは孔子だったっけ。以前旅行で行った中国庭園に石像と石碑があったんですよね。それを見た時私は遠方より来た側で、その時会いに行った友とはもう疎遠になってしまったなぁ。 まぁそんなことは今となってはどうでもよ…

爽やかにゆれる

東京で住んでいた家は、日当たりが悪かった。南向きにも関わらず、前のマンションと上の部屋のせいで日が当たるのは冬の午前中だけだった。太陽の高さが季節ごとに変わるという当たり前のことを、身をもって実感した。内見に行って決めた時外観も撮影したの…

太る馬と私

10月半ば、さすがに気温が低くなってきた。朝と夜は長袖じゃないと、なんなら一枚羽織るものがないと過ごせなくなった。 ある日の夜、やたら寒くて慌てて掛け布団を冬用にした。去年も同じようなことをした気がする。その時にならないと寒さが実感できないの…

罰ゲームを打ち砕け

たぶん出会いが最悪だった。 大学近くのありえないほど安い居酒屋で、300円。大学生の飲み会のノリで、白いとっくりが3つほどと、人数分運ばれてくるおちょこ。 あれが私と日本酒の出会いで、それはそれは最悪な印象を植え付けられた。鼻と喉にツンとくる匂…

「き」「は」「じ」

仕事が終わり、即職場を出る。チャリのタイヤの向かう方向は、自宅ではない。駅だ。 ここ最近、駅を使うことはほぼない。ほとんどチャリか、少し足を伸ばすときはバス。絶賛探し中の中古車が手に入ればまた変わってくるのだろうが、そうなってくると駅なんて…

はちあわせ

その日は夜勤明けで、しばらく緊張していた案件も一旦終わったところで、とりあえず新発売のスタバの焼き芋ブリュレフラペチーノを飲んでから帰宅、洗濯をした後に自分へのご褒美だ〜と回転寿司を食べに行ったりしていた。 夕方前くらいに隣駅まで行って、ち…

有意義休日の希望的観測

休日は何してるのか?という質問を最近よくされる。この質問、実はめちゃくちゃ難しいような気がする。関東にいた時でも、最近でも、特に明確なコレ!!という過ごし方ってなくない?この質問に明確にズバンと答えられる人って、いるのだろうか。 とはいえ最…

君にお手紙

引っ越してきてから1ヶ月と少し経った。 「2ヶ月以内に手紙を書くこと」 空港まで見送りに来てくれた友人とのその約束を果たすには、いい頃合いだ。 そろそろ筆を執ろうかしら、と思いながらふとカレンダーを見る。 あ、もうすぐあの子の誕生日だ。 それな…

縁の色をした緑

バジルを植えた。 約6年ぶり2回目だ。 前回は仲の良かったサークルの後輩たちが、合宿担当幹部だった私の仕事が一通り終了したのを労ってプレゼントしてくれたものだった。 当時はInstagramに定期的に写真をあげており、植えた報告を後輩に届けるためにも…

2度目の決意で終わらせたい

6年、という年月。ピカピカの一年生が少し大人びた最終学年になり、大学一年生が社会一年目をちょうど乗り超えた頃で、オリンピックは春夏合わせると4回できてしまう。 そんな6年という年月。 6年前、私は運転をしなくなった。 最後に運転した頃って何があっ…

鼻を利かせなよ

ついに引っ越しダンボールを全て空にし、業者に回収してもらった。もうすぐ引っ越してから1ヶ月。ようやく生活が落ち着いた。 窓の外やドアを開けると山々が見える生活にもだいぶ慣れた。実家に住んでいる時も北に山があったけれど、比べ物にならないくらい…

朝は優雅に

ここ数ヶ月、コーヒーを淹れるグッズを探していた。 年明けごろに友人の家に遊びに行った際、家主が「コーヒー飲む〜?」と言ってサラッと淹れてくれたコーヒーがすごく美味しかったというかなりシンプルな理由によるもので、とりあえずその場で豆を教えても…

白雪と小麦

自転車通勤になって2週間がすぎた。高校時代の自転車通学が思い出されて、あの頃に戻ったような感覚が少しある。 朝は東にペダルを漕いで登校し、夕は西にペダルを漕いで帰宅。太陽を追いかけるように自転車通学をしていたあの頃、私は体育館部活にも関わら…

それはゲームを進めるように

家が広くて綺麗すぎて、入居して一週間が経ったのに未だにホテル気分に近い感覚がある。 本当はこの週末で箱を全て片付けたかったのだが、あんまり集中できず4箱残ってしまった。まぁ一週間なんてこんなもんですかね? 入居してから荷物が届くまでの2日間…

ひとりぼっちは怖くない

通勤定期を払い戻した。頼んでいなかったけれど「印字も消しておきました〜」と言われて返された定期券は、青紫色の細いカタカナの名前と共に、使っていた駅たちの文字の抜け殻も残っていた。一人暮らしで暮らした街の最寄り駅の印字は、ほとんど跡が残らな…

引越し奮闘記

そんなに広くはない上にもともと物が多く、ヨギボーや大きいパンダを模したスツールなども置いてある部屋の荷造りがこんなに大変だなんて思わなかった。 生活スペースが完全になくなっている。しょうがないからベッドの上に布団をまとめた巨大セットを避難さ…

王道の脇道

最近引っ越しのことばかり考えているので、出てくる話題と言っても引っ越し関係のことばかり。ダンボールをようやく受け取り、梱包を始めないとなぁとやっと重い腰をあげたところだ。 そこでまず詰めようと思ったのが『金色のガッシュ!!』完全版全巻。 や…

知らない街

きっとその場所に行ってみたら実感って湧くんだろうなって思ってた。 飛行機とバスと電車を駆使してたどり着いた。 住む予定の家を見せてもらっても、手続きを済ませても、周辺を歩いてみても、働く予定の職場まで行ってみても、全然しっくりこない。ずっと…

高みと現在地

ここには私と同じものが好きな人しかいないんだなっていう空間が割と好き。私よりも明らかに愛が深そうな人が溢れるくらいいて、私の "好き" なんて彼らには到底及ばないんじゃないかと思うことも多々あるけれど、やっぱり同じものを好きな人を見ていると気…

店じまい競争

一年半くらい前にこの町に引っ越してきてから、ずっと閉店セールをやっているブティックがある。店頭のショーウィンドウに飾られているマネキンは季節ごとに律儀に着せ替えられ、ついに再びの夏仕様になった。相変わらずショーウィンドウには「閉店セール」…

豚をかぶる

約10年間、ずっと欲しかったものがあった。 先日ついにそれを手に入れた。 これである。 トイ・ストーリーのハムのかぶりもの。高校卒業時に友人達と制服で行ったディズニーランドで見つけて以来、ずっと欲しかった。お値段2,900円。高校生では、2,900円はな…

時をかけるお弁当

年明けくらいから、節約のためにほぼ毎日お弁当を作って持っていっている。他の部分で物欲に忠実なせいでお金は貯まる気配を見せないが、とりあえず削れるところは削ろうと継続はしている。 基本的に前日の夕飯の残りを入れ、残りのスペースに気まぐれに作っ…

夏の赤ちゃん

めずらしく日曜日の午前中に目が覚めた。基本的に予定がない限り怠惰な休日を過ごしてしまう私だが、特にここ最近は行動できるレベルに覚醒する頃にはすでに昼下がりであることが多い。せっかく午前中に起きることができたので、何か有意義に過ごしたい。 と…

ガラスの眼と下僕

大学院の同期と1年ぶりに会った。一人暮らしを私が始めてから、住んでいる場所がかなり近くなったのでなんとなく不思議な感じがする。私の学科の院生の同期は私と彼女の二人だけで、彼女は学部時代は違う学科で勉強をしていた。いつ何で知り合ったのかは全く…