小学2年生の頃、夏休みに関東のあらゆる水族館に行かせてもらったことがある。イルカが好きな私がめちゃくちゃに行きたがったからだ。八景島シーパラダイス、えのすい、サンシャイン水族館、、、5歳上の姉は「水族館はもうこりごり」と思っていたそう。ごめんね。
いつかイルカと一緒に泳ぎたいと思っていたし、それをモチベーションに憂鬱な気持ちではあったけれど、スイミングに通っていた。毎週金曜日の夕方はそのせいで憂鬱だったけれど、なんとか平泳ぎまでは泳げるようになった。
そんなイルカから始まった海の世界への憧れは、自然と私をお伽話の人魚姫へと引き寄せた。
もちろんその入り口はディズニーの『リトル・マーメイド』だったのですが、、、
そこからあらゆる方向に憧れが広がった。人魚姫の作者、アンデルセンの故郷であるデンマークに多大な憧れを抱いたのも、そのひとつ。大学の卒業旅行で首都のコペンハーゲンへ行けたことは、私の中で最高の思い出として残っている。
(アンデルセン童話発祥の地として、コペンハーゲンには人魚像がある。世界三大がっかりらしい。すっごい曇天)
そんな中でも、どうしてもわからなかったことがある。
人魚のモデルがジュゴンという動物である、ということだ。人魚伝説というやつ。
調べてみると、ぽってりのっぺりとした不思議な生き物が出てきた。イルカのような流線型だけど、イルカでもない。
この動物から、あの人魚のイメージが生まれたの?
ポケモンのジュゴンならまだなんとなく繋がらないこともないが、、、
正直わからなかったし、綺麗な人魚モチーフとは結び付かなかった。
伝説なんてそんなものだよな、、と今なら思えるけれど、小学生の頃に初めて聞いたときは、許せないとすら思った。
突然友人から「鳥羽水族館に行きたい」と誘われた。
名前は聞いたことがあって、コロナ禍でアザラシの赤ちゃんが産まれたことが話題になっていたことも知っていた。調べてみると、飼育種類数が日本一だそうだ。すごいね。
そして何より、ジュゴンがいる。
日本で唯一のジュゴンがいる水族館だそうだ。
俄然興味が湧いた。
ジュゴンをこの眼で見て、人魚のモデルとして納得できるかどうか確かめよう。
そんな決意を胸に、三重県へと向かった。
(初日の伊勢神宮、雨によって神聖な雰囲気が一層増していた)
鳥羽水族館へは、2日目に。チェックアウト後に真っ直ぐ向かった。
館内は特に決められた順路はなく、メインストリートからそれぞれのエリアが部屋のようにのびている。ずっと道が繋がっている水族館よりもあちこち行きやすい。何より明るい。
本当にたくさんの生き物がいた。
前向いてるガー。小型の方。
スナメリ。シロイルカとは違う。スマホを向けていると寄ってきてファンサをしてくれたけど、一眼にはなかなか寄ってこなかった。
イロワケイルカ。一頭が突然速く泳ぎ始めると、みんなつられてレースみたいになってた。
ラッコ。もう日本の水族館には4頭しかいないんだって。そのうちの2頭いた。ご飯タイムだった。職員さんにめちゃ懐いてて可愛い、、、
そして、待望のジュゴン。
とても、優しい顔をしていた。
小魚がたくさんいる水槽で、悠然と泳いでいた。
大きくて、むっちりとしていて、のんびりとしていた。
この子の名前は『セレナ』。保護されたフィリピンで、人魚を意味する単語だそうだ。
人魚かと言われれば、正直完全に理解はできない。人魚とは別物だと思う。
でも、きっといい子なんだろうなとなんとなく思った。純粋に可愛い。
ジュゴンに対するわだかまりは、優雅に泳ぐ姿を見て完全に溶けた。
今年で来園35年記念らしく、先日海藻のケーキが贈られたんだって。
私よりも歳上のセレナ。
勝手に許せないとか言っててごめんね。
会えてよかったと思った。
これからも元気で。また会いに来たいなぁ。
ちなみに、ジュゴンにもよく似ていて、人魚のモデルはこっちだという説もあるマナティもいた。
まん丸だった。
海藻を胸ビレを使って食べていた。
友人はマナティの方が親近感が湧いてよかったと言っていた。
鳥羽水族館を後にした私は、色々な魚や生き物を見たことに感化されて、ずっと温めていたダイビングのライセンスをとる話を進めようかと思っている。
本物の人魚、いるかもしれないしね。