夏の赤ちゃん

 

めずらしく日曜日の午前中に目が覚めた。基本的に予定がない限り怠惰な休日を過ごしてしまう私だが、特にここ最近は行動できるレベルに覚醒する頃にはすでに昼下がりであることが多い。せっかく午前中に起きることができたので、何か有意義に過ごしたい。

とりあえず顔を洗って服を着替える。前日の予報では、すごく暑くなるとのことだった。確かに窓の外からかすかに覗いている空は、真っ青で明るかった。30度いくとか言ってたな、、、と思いながら、黒いノースリーブを引っ張り出す。私は自分の二の腕に自信がない反面、ノースリーブが好きだ。毎年「やっぱり腕太いんじゃないか」と思いながらも、腕まわりの布がない涼しさにはしゃいでしまう。先日、実家でノースリーブのドレスを試着しながら「私今年はノースリイケるな!」と腕をぷにぷにしながら鏡の前で頷いていると、母が「あんたそれ毎年言ってるよ」と笑っていた。毎年自分にイケるイケると言い聞かせながら着ていることがバレてしまった。実際腕が太かろうが多分着るのだ。私はノースリーブを。

 

「こんな時期から半袖着て、こっから暑くなってきたらどうすんの?!」とこの間の暑い日に先輩に言われた。あの先輩は今日何を着てるんだろう。私には、どうしても着る服をチキってしまう癖がある。特に今の時期はほぼ毎年そう。暑いのかな、と思いつつ長袖シャツを着て失敗したりとかしてしまう。それがなんとなく嫌で、思い切って半袖を着たのが先輩に驚かれたあの日だ。あの日、夏になりきっていない空気の中、腕を出して歩くのがとても気持ちが良かった。なんだ、少し涼しいくらいがちょうどいいじゃん。

 

というわけで、夏の赤ちゃんであるこの日に私はノースリーブを着る。下は夏によく履くケーブル編みのロングスカート。サンダルも下ろしてしまおう。こんなにすぐサンダルを履くと思っていなかったので、ペディキュアも何もしていないけれどまぁいいでしょう。行き先はATMとスーパーとコンビニ。大したことないとこだけど、いいじゃんちょっとくらい。

 

マンションを出ると、長袖シャツを羽織っている人と目があった。歩いていくと、大体の人がせいぜい半袖だ。やっぱりノースリは早かったのか?と思った矢先、向こうから犬を連れて歩く女の人がノースリを着ていて心強かった。最近できたばかりのお店から出てきたその店のジャンパーを着た人が、日差しにビックリして「うわあっつ!!」と大きい声を出していた。その横をノースリーブを着てしゃなりと歩く。いいでしょ、ノースリ、涼しいわよ。

 

そもそもこの外出は、今年の夏の楽しみな予定のためのものだ。今年初めて、夏フェスに行く。音楽が好きだと言っておきながら、実は野外フェスに行くのも初めてだ。すでにドキドキしている。何を準備すればいいんだ、、、?と思いながら、とりあえず入金をしにきた。まだ誰が出るのかもわかりきっていないけれど、かなり楽しみ。着る服を調べてみると、Tシャツとショーパンが推奨されていた。ノースリは好んで毎年着るが、ショーパンはここ数年履いていない。足の状態的にも年齢的にも大丈夫か?私今年ショーパンイケるのか?という一抹の不安はあるが、本当にかなり楽しみなのだ。入金完了。オッケーオッケー。

 

ついでにスーパーに寄ると、日曜午前限定の朝市的な企画をやっていた。一年とちょっとこのスーパーを使っていたが、そんな企画があることを知らなかった。ラッキーラッキー。今後も日曜午前、特に予定がなければ来るようにしようかな。野菜コーナーでは、夏野菜がだいぶ安くなってきていた。オクラを愛しているので、購入。焼き浸しにでもしよう。

 

帰宅してから、足の爪に色を塗った。夏に映えそうなトマト色。サンダルをいっぱい履けるように。去年欲しかったけど諦めた、スポーツサンダルも先日ポチったのだった。いつ届くかな。

 

 

夏がくる。夏がくると、なんだか嬉しい気持ちになりません?と先輩に言うと、「そうかなぁ、さすが海育ちの女は違うなぁ」と言われた。夏が来て嬉しいのは当たり前のことではないのかなぁと思いつつ、今年はいい夏にしていきたいなぁと少し願いも込めて、トマト色の親指の爪にふーっと息を吹きかけた。