父方の祖母が大山っていう池袋から私鉄で3駅(だっけ?)のところに住んでいた。
だから結構小さい頃から池袋にはよく行っていて。ただ父方の祖母のことを「板橋のおばあちゃん」と呼んでいた私は、池袋=板橋っていう認識ではあったんだけどね。
小さい頃の私にとって、東武デパートは広いオモチャ売り場があるところだったし、サンシャインは水族館があるところだった。
父が運転する車に乗って、ラジオを聴きながら騒いでいればおばあちゃん家に着くし、東武デパートにもサンシャインにも行ける。
おばあちゃん家がもうすぐだって目印は、通りに面した大きな店(伏せます)で、それが目に入ると車を降りる準備を始めたりして。
東武デパートが駅前にあることはなんとなーくわかっていて、当時の池袋駅前にはたしかドラゴンみたいなのが壁から生えてるお店があったからそれが目印で。サンシャインがそこから少し離れていることなんて知らなかったし、そのどれも全て駐車場から店内に入る入り口しか使ったことがなかった。
そんな池袋が、5年前、電車で通う街になった。
池袋は、車で行く街じゃなくなった。
電車で行って、学校に通って、あちこち歩き回る街になった。
駅前のドラゴンはいないし、サンシャインは大型ショッピングセンターだし、ていうか上はビルだし、東武のオモチャ売り場は小さい頃より小さく感じた(実際に小さくなっているのかも)。
でも、自分の足で歩く池袋は
マルイがある。パルコがある。あそこの楽器屋は品揃えがいい。ここのカフェのケーキが好き。あの居酒屋は安くて、このレストランは魚が美味しい。
歩き回るのは楽しい。土地が高いのか、お店もコロコロ変わる。新しい発見が割とある。でもよく行く限られたお店もある。
大学での池袋は、小さい頃の池袋に比べたら随分広い。まるで違う街だ。
そう思ってたけど。
先日、祖母が危篤になった。
会える時に会いにいきなと言われて、祖母がいる大山のグループホームに、父と待ち合わせて面会時間ギリギリに行くことにした。
ちょうど池袋での私鉄への乗り換えのタイミングで運転見合わせになって、バスもいい時間のものがなかったから駅前でタクシーを拾った。
芸劇とか、マルイに面してる大通りをまっすぐいって、しばらくして。
祖母の家の近くの目印の、見覚えのある大きなお店があった。
小さい頃祖母とよく行った洋食屋があった。
「この角をまっすぐ行けば、ばあちゃん家だよ」
父に言われた方をみると、車で何度も通った見慣れた曲がり角があった。
大学の池袋の道は、小さい頃のその道にちゃんと繋がっていた。
なんか、そのことがとても嬉しくて、懐かしくて。
到着した時、祖母は寝てたけどそのことを報告した。
一緒にいた父は笑ってた。
たぶんおばあちゃんも笑ってたんじゃないかな。
もう多分、ここから先あの道を通ることはなくなると思う。でもこの道と繋がってるって思っただけで、いつでも会える気がしています。
なんちゃって。
たまにはこんなしんみりした話もいいよね?
おわり。