すべての女性には、いや男性もかもしれないけど
妥協して服装を選ぶ日があると思う。
準備の時間が足りなかったとか
想定していた気温と違ったとか
選択が間に合わなかったとか
理由は様々だけど、
私はそれらを「妥協服」と呼ぶ。
夏とか冬とか、気温が振り切れている季節は割と妥協服を着る日は少ない。
問題は季節の変わり目、つまり今である。
中途半端な気温の毎日、昼と夜でまるで違う土地のようになってしまう。
しかもそのうえ最近は日によって気温の振れ幅が大きい。
寒くなったと思ったら暑さがぶり返してきたり、もうなんなんだ地球はっきりしてくれ。
「暑いけど半袖を着ると夜は寒い」
「寒いけど今日セーター着ちゃったら真冬どう生きてくの」
天気予報とタンスとにらめっこしてあれこれ考えながら時計を見ると予定準備時間をオーバーしそうになっている。
そんな日が今ぐらいの季節は多い傾向にある。
「じゃあ妥協するのを減らすために、満足のいく服を全気温用に揃えればいいじゃない。」
それは確かにその通りで、「まぁそうなんだけど、、、」と目をそらすほかなくなるのだが、少し言い訳をさせてほしい。
まず、春秋の服は着られる期間が短く、時期を逃すとまた来年お会いしましょうという感じになる。
そしてその間もファッション業界は目まぐるしく動き、その時は流行っている服も一年後には時代遅れの化石になることがある。
お洒落な人はそんな感じなんだと思う。モデルとかタンスの中どうなってるんだろうか。
私はそこまで流行に敏感なファッションリーダー気質は持ち合わせていないのでここら辺の感覚は正直よくわからない。
私の場合は、1年間タンスの奥にしまいこみ、次に相見える際には「なんか違う」と感じる。
好みが変わっていたり、生地が劣化していたりするのである。こう感じてしまうと、悲しいことに妥協服の仲間入りである。
あとシンプルに存在を忘れて何年かワープすることもある。そういう場合は年齢的に厳しくなって、残念な結果になってしまう。
そんな感じで、お気に入りの服も結構すぐに妥協服になりかわってしまう。
また、これらの妥協服をすべて毎年新しい妥協のしない服に買い換えているとキリがない。
日本の経済回しまくりである。学生なのでまだそんなに余裕はない。
そのうえ実家暮らしだと妥協服とおさらばするのはさらに困難になる。
処分用にわけておくのを見るや否や、
「もうこの服捨てちゃうの?」
「これあったかいから部屋着にしなよ」
後ろ髪引っぱり口ばさみというダブルコンボをかまされるのだ。
そう言われるともう来た道を戻る一方で、気づいた時には彼らはタンスの仲間に再加入して、次のシーズンの出番を待ちわびている。
今の私の力では、妥協服と縁を切ることは最早不可能に近いのがわかっていただけただろうか。
妥協服を着ていると1日がもうすべて妥協しているように感じてしまう。
いつか。働いてそこそこの収入を得て安定するようになったら。
妥協服に翻弄されずに心踊るバラ色の毎日がやってくるのではないだろうか。
そんなことを考えながら今日も私は何年も前に買った毛玉が多くついたカーディガンに袖を通して家を出る。
切実に思う。
誰か私にワードローブの作り方を教えてください。