メレンゲとイカヅチ

先月の終わりから先週まで、長期の休暇をとって帰省をした。束の間の夏休み的なノリだった。当初は家族のお盆休みに合わせて休暇を取る予定だったけれど、友人の結婚式に2週にわたって参列する予定ができたので結果的に週末を連休でくっつける形になったのだった。2週にわたってブログの更新がなかったのはそのためです。実家にいるとブログを書く暇がない。なんかずっとリビングで誰かしらと話しているので。
毎回帰省するたびに毎日人と遊んでいて、実質実家にいるのなんてほんの一瞬、、、という感じなので、今回は意図的に2日ほど何も予定を入れないでみた。両親の誕生日やら父の日母の日、、、のプレゼントが全て滞っていたので、それらの買い物に一緒に行けたらなぁと思っていたのだけど、父はこだわりが強すぎて選びきれず、母は欲しいものがすぐには浮かばず。結局私だけがスポーツショップでジャンパーを買う、という謎の買い物になった。秋あたりに仕事で使おうと思う。
そんなくだりがあった後の食材の買い出し時、母がポロッとシフォンケーキ食べたいなぁとつぶやいた。安易なノリで「じゃあ作る?」と聞くと、母は嬉しそうに卵のパックを余分に持ってきた。というわけで、母と一緒にシフォンケーキを作ることになった。
のだが、翌日の何も予定のない休み、お互いにいつ作り始めるんだろう、、、と様子を伺いあっていたら夜になってしまった。半ば諦めムードの母だったが、幸い私の翌日の予定は夜からだったので夕方までに作ることにした。
姉と私が幼少の頃はお菓子を作ってくれていた母なので、山のようなレシピがある。そこからどのシフォンケーキを作るかを検討する時点で午前中が終わった。たまたま用意があったオレンジジュースを入れるレシピに決まった頃には13時を回っていた。
分担として、母がバターと砂糖を混ぜて粉類を合わせる係、私がメレンゲを立てる係となった。最初私がバターと砂糖を混ぜるのをやり始めたのだが「白っぽくなるまでやらなきゃダメだよ、代わろうか?」と母にとられた。たぶん、一家で最年少の私のことを未だに幼稚園児くらいだと思ってる節がある。母の作業を見ていると「これやっぱそんなに白っぽくならないやつだ」と諦めていた。私の成果で十分だったじゃん、、、そのまま粉を振るわずに入れていて「あぁヤバい、ダマがいっぱい」と後悔していた。
そんな母の横でメレンゲハンドミキサーで泡立てる。「ツノが立つまでだよ!代わろうか?」と赤ちゃん扱いする母を制止して続ける。私はもうアラサーなので、、とはいえツノが立つまでメレンゲを泡立てたことはなかったかもしれない。ツノが折れるくらいの段階が長く、ちょっと不安になる私に「代わろうか?」と言ってくる母。しばらくやると普通にツンとツノがたったので完成。アラサーなのでちゃんとメレンゲにツノを立てられます。余裕ですわ。
母の混ぜたものと私のメレンゲを合わせ、型に入れてオーブンへ。「焼けた時に型を逆さにする用の瓶がないな、、、」と母が冷蔵庫からちょっとだけ残ったワイン瓶を持ってきてマグカップに注いで飲み始め、「これは一気に飲むワインじゃないな、、、」と呟いていた。母、おもろ、、、
焼けたらしばらくは逆さまで寝かせるんだもんねぇと話しつつ、外出の準備を進める私。再放送しているかなり昔の好きだったドラマを横目に、メイクをして。その頃オーブンの中ではシフォンケーキがいい感じに膨れていていい香りが漂い始め、家の外ではビックリするくらい雷がゴロゴロ鳴っていた。母がめちゃくちゃ怖がっているのをなだめつつ、さすがに真近くに落ちた音を聞いた時は怖さを感じた。ドラマも事件が落ち着いた後のコメディ部分を放送しており、シフォンケーキも残り数分かねぇ、、となった頃。

周りの音がいきなり一瞬にして途絶え、ついていた電気も消えた。

停電です。

こんな数年に一回レベルのケーキを作って焼いている時に、停電することある??
一旦ブレーカーを落とし、数分待ってから入れると電気が復旧した。数分程度の停電だったようだ。
とはいえ、残り何分の焼き時間かわからないシフォンケーキ。様子を見た母が「もうこれ出しちゃおっか〜」と、先ほど開けたばかりのワインの瓶に穴を通した。生焼けじゃないといいねぇと言いながらそのまま友人との外食へ。



帰る頃に母からメールが入り、見ると

「たべた」「おいしーよ」
だそうだ。めちゃくちゃいい感じの焼き上がりじゃん。
家についてから薄くきった一切れを食べてみる。美味しい。ちょっとダマはあるけど。オレンジの味がちょっとして爽やかな甘さになっていた。上の方がちょっとシュワッとするレベルの焼き具合で、停電した割には大成功だった。やったね!
翌日から予定が詰まっていて、せっかく作ったのにあまり食べる暇もなく過ごしていると、気付けばホールで作ったのに冷蔵庫から跡形もなくなっていた。「え、食べちゃったの?!」と聞くと「切って冷凍してある、いつでも食べられるように」と母。私が帰省を終えて帰ってきた後も、食べたい時に食べているようだ。

ホールで作ったケーキを冷凍して保存して食べる。新たなライフハックかもしれない。