へやじまい

引越し当日の朝、愛車を無事に見送った3時間後には引越し屋さんが来る段取りとなっていた。前日の送別会でだいぶ酔っ払ってしまい、帰ってからほとんど準備も何もせず寝てしまったのだが、洗面所周りが綺麗に残っており、時間に追われながらも箱にポイポイ物をいれてゆく。自分が持てる重さに、、、!と考えて詰めた結果、30箱くらいになってしまって引いている。開けるの大変では、、、?と一抹の不安を抱えつつ、時間に追われながら詰めていく。
引越し屋さんに頼むのはこっちに来た時と今回の2回目なのだが、全然詰め方がわからない。何も考えずにもう入れても大丈夫そうなところから詰めていき、箱のスペースが余るなら他のエリアのもの、重いならタオルとかトートバッグとかを適当に、、と入れているので、正直どこに何を入れたのかボンヤリとしている部分が多い。また、7月頭に塗ったネイルを落とそうと思ってもすでに除光液を詰めた後だったり、キレイめボトムスを勤務最終日に履いたはいいものの、ベルトはすでにどこかの箱の中だったりした。最終勤務日は腰にクリップをつけて堪え、上司に爆笑されるなど最後までドタバタだった。
そんな不安とたくさんの箱を抱えたまま、引越し屋さんがやってきた。どんどん運ばれていく荷物たち。前回もそうだったが、箱に入らない大きなパンダのスツールが恭しくプチプチに包まれていくのを、なんだか面白く感じてしまう。こっちに来る時は親が手伝いに来てくれて、掃除機を持ってきてくれていたので荷出しの後でも掃除機をかけられたのだが、今回は一人。掃除機を最後に積むようにお願いし、大きな家具が出されるとすぐに掃除機をかけて溜まったホコリを吸い出していて、なんだかこれ感じ悪く思われないかな、、と心配になった。背に腹はかえられませんが。
スタッフの中に女性もいて驚いたのだが、エッサエッサと男性と遜色なく仕事をしていてかなりかっこよかった。スタッフ同士仲がいいようで名前で呼び合っていたのだが、どうやら私と下の名前が同じようだ。ちょっと面白いな、、と思いつつ、荷出し完了のサインを書いていると「実は先ほどいた女性のスタッフ、今は結婚して名字が違うんですが、、旧姓だとお客様と同姓同名なんですよ、、、」と責任者の方が教えてくれた。同姓同名(今は名字が変わってしまっているようだが)の人と出会ったことがなかったので、かなり驚いてしまった。どうやら依頼した段階で事務所で沸いていたよう。彼女はひらがな表記らしく、漢字まで一緒ではなかったのだけどなかなかない経験だな、、と笑ってしまった。
荷物を送り出した後、何もない部屋で一人横になる。今日はホテルに泊まって、翌朝に退去立会だ。
一人暮らしにしては広い1LDKの部屋。この辺の相場だとだいぶ高い部屋で、東京での一人暮らしの家賃のノリで契約してしまい、周囲から驚かれた部屋。がらんどうの部屋は声がよく響く。無駄に意味のない声を出して、反響を聞く。

夜は、職場のグルメなおじさんに「最後の夜にぜひ」と言われたところへ行こうか、私が友達をよく連れて行っていたところへ行こうか迷っている。最後のこの土地での晩餐。悩ましく思いながらひたすら部屋の掃除をし、ガス閉栓に立ち会い、ホテルのチェックインを済ませる。おじさんには予約をしないと入るの厳しいかもと言われていたので、前日にそれ言われても予約できんじゃん、、と思ったけれどイチかバチかで電話をしてみたらすぐ入れるとのことだったので、行ってみることにしたのだった。