それはゲームを進めるように

 

家が広くて綺麗すぎて、入居して一週間が経ったのに未だにホテル気分に近い感覚がある。

本当はこの週末で箱を全て片付けたかったのだが、あんまり集中できず4箱残ってしまった。まぁ一週間なんてこんなもんですかね?

 

入居してから荷物が届くまでの2日間、何が一番不便だったかって冷蔵庫がないことだった。そもそも料理に使う器具がまるでなかったので、コンビニで買うか外食するかの2択。ちなみに外食は、周りにあるのは個人経営の居酒屋ばかりでなんとなく一人では入りづらさがある。

となると、コンビニで買うことになるがお湯も沸かせないのでインスタント系はナシ。おにぎりもお弁当もすぐ食べる分にはいいけれど、朝ごはん用にするには冷やしておけないのが心許ない。ということで結局2日間、パンを買って食べていた。パンくらいしか選択肢がないように思われたので。

 

荷物が届いたのは朝早くで、運び込まれてくる荷物の番号を私がチェックを入れながら「これはあっち」「これはこの中」などと指示するのは何だか楽しかった。こっちの引越し業者さんも丁寧でありがたかった。

冷蔵庫の到着も待ち侘びていたけれど、一番に飛びついたのは自転車だ。都内で一人暮らしをしていた頃はずっと実家に置いていたのだが、出勤に使うと聞いていたので無理を言って親に持ってきてもらった。どうやら行く前に、父が自転車屋さんにメンテナンスをしてもらいに行ったのだそう。ありがたい。

引越屋さんを見送った後、即家を出て自転車に乗った。洗濯を早くするために、家具屋まで物干し竿を買いに行きたかったのだ。今回の家は浴室乾燥がないのでベランダに洗濯物を干すことになるのだが、物干し竿を持っていなかった。家具屋の看板は家から見えていたのだけど、絶対に歩いて行くとそこそこ疲れそうな距離だったのでずっと自転車の到着を待っていた。

自転車の鍵を回して跨ってペダルを漕ぐ。うわ、めちゃ楽だ、すごい。なんとなく頭によぎったのは、ポケモンのゲーム内で自転車をゲットした時のあの感動だった。リアルポケモン体験してるじゃん。ウケる。家具屋にはあっという間に着いたが、あまりにもあっという間すぎて開店5分前だった。ちなみに察している人がいるかもしれないが、物干し竿を2本(ラップみたいなのでまとめてもらった)、片手に持ちながら片手自転車運転で帰った。良い子は真似しちゃいけません。

帰ってからすぐ洗濯をした。一人暮らしで外に干すのは初めてだった。太陽を浴びたバスタオルは、なんだか浴室で乾かすよりもふかふかしていた。

 

友人から「どうぶつの森で新生活を始めるくらいの気持ちで引越しを楽しんで」と言われた。初めての一人暮らしの時は家具が揃うまでダンボールでご飯を食べていたので、たしかにどうぶつの森の初期の部屋のようだった。一方で今回の引越しは、基本的な家具が揃っている。なんだかこの家具たちが旅のパーティーみたいな感覚だった。どうしてもポケモン感が出る。冷蔵庫のコードが思ったより短かったりとか、細かい計算違いはあったものの問題なく引越しは全て完了した。

 

あと4つの箱の中身はあと半分ずつくらい。とはいえまだまだ住所が決まっていないモノも多いので、完全に片付くのはもう少しかかりそう。完全に片付いてからが引越し完了なのか?よくわからないけれど。

前よりも大きい窓から見える夜の世界は、前よりも街灯が少ないので、夜に雨が降り出したとか、そういう判断が難しい。どうすれば判断がすぐできるのだろう。

テレビの番組表もまだよくわからない。というか、違う地域に来たらチャンネルをわざわざ合わせなきゃいけないのも今回初めて知った。都内にいた時からチャンネル配置がまるっと変わってしまったのでもうわからない。

 

色々とまだまだ知らないことがたくさんある。わからないこともたくさんある。この先数年ここに住むのが、未だに想像できない私もいる。

とはいえもう生活は始まってしまったので。仕事も始まってしまったので。色々なところに行って色々と覚えながらマップやタスクをクリアしていき、きっと日々に飲み込まれながらこの土地に馴染んでいくのだろう。