ギターに対する異常な憧れがずっとあった
ギターを弾ける男の子は何割か増しでかっこよく見えた
でも、自分でギターを弾くようになってからは、その魔法にはかからなくなった
ああ、ただ単に自分でやってみたかったことだったからなんだなと実感した
ギターと同じくらい、外側のギターケースにも憧れていて、ギターケースを背負って登校してみたかった高校生の私
ギターは持っていたのに結局大学まで日の目を見ることはなくて、制服でギターケースを背負うことはなかった
一度クラスの男子がギターケースを背負って教室に入ってきて、えっギター持ってきたの?!とザワザワしたけれど中から出てきたのは竹刀だった(なんでだよ)
そんなどうでもいいことを未だに覚えているくらい、ギターケースに憧れていた
憧れが突っ走って、大学ではバンドサークルに入った
初めてのスタジオ練の前にちゃんとしたリュックタイプのギターケースを購入して、翌日ギターを入れて背負って自転車に乗っている自分に興奮したことを覚えている
それから大学在学中は何回もギターケースを背負って移動した
エフェクターボードを実装してギターケース + 黒い硬いケースというバンドマンスタイルが実現したり、それに加えて合宿の荷物を抱えることになって、そのあまりの重さに足が地面に沈んでいくんじゃないかと思ったり、さすがにプロっぽくなって恥ずかしいからと頑なにキャリーケースの購入は拒んだり、エフェクターボードは重いので倉庫に入れ続けて取りに行くのがめんどくさくなったりした
それでもやっぱり私の中でどこか愛着があったようで、上野動物園で買ったお気に入りのパンダのマスコットと、友達からもらったハロウィンのプーさんをずっとお守りとしてつけたまま、ギターケースは私の大学のサークルライフを見守っていた
一度ちゃんとしたギターを買った際についてきた手持ちタイプのハードケースに入れて運んだことがあったけれど、不便すぎてやめた
冬の日にふざけてニットとマフラーをつけて写真を撮ったこともあった
(2015年11月の写真)
荷物を増やしたくなくて教科書も中に入れていた時期があって、何しに大学行ってんのよと親に呆れられたりもした
全くその通りだと思う
無理に教科書を入れていたせいで書類を入れるようなファスナーは壊れてちゃったしね
サークル当時の私は本当にお花畑だったので思い出すのも恥ずかしくて、卒業ライブが終わってから約3年、部屋の隅にずっとギターは佇んだままだった
一回後輩に貸したくらいで、ほとんど陽の光を浴びることはなかった
あんなに憧れていたギター、ギターケースだったのに
今日、久しぶりにギターケースを背負って外に出た
一人暮らしを始めて数ヶ月、どうしてもギターを持ってきたいな、と思ったからだった
チャックを開けると、弦はサビサビだったけど、愛着のある黒いギターが眠っていて、
しばらく開けてなくてごめんね、、という気持ちになった
久しぶりに持ち歩くギターは重くて、帰省帰りだからなおのこと荷物も多くて一層重くて、地面に突き刺さりそうだなと思った
懐かしい感覚だった
部屋に置いてみると、最初からずっとありましたというような雰囲気を醸し出している
ここが、新しいおうちです
何年かのブランクはあるけど、苦手だったアルペジオでも練習しようかな
これからもよろしく