もう来ない部屋

 

友達が引っ越しをする

 

それだけだと、割とフーンという感じで

どこに暮らすの〜?とか、また遊びに行くね〜とか、そういう話の流れになると思う

 

でも、今回ばかりはなんとなくそうではなくて

 

というのも、その友達の家は通っていた大学からかなり近く、大学とか院生の頃めちゃくちゃ遊びに行ったからで

 

そもそもその子と仲良くなったきっかけが、サークルの溜まり場でほぼ初対面で話している時に本をオススメされて「今貸そうか?」と彼女の家まで取りに行ったこと

ちなみに貸してもらった本は伊坂幸太郎の『砂漠』だった 面白かった

あと今思えば、一人暮らしの人の家に足を踏み入れたこと自体初めてだった

 

仲良くなってからはタコパをしに行ったり、飲み会で終電を逃した時とか、電車が夜に止まってしまった時とか避難させてもらったりした

一回潰れた時に担ぎ込まれたこともありました ごめんなさい、、、

 

私たちの代の追い出しコンパがアクシデントでかなり夜遅くに始まったので、もう終電は諦めて仲のいい3人で彼女の家に泊まったのはかなりいい思い出だ

ドレスを脱いでハンガーにかけてもらって、部屋着を貸してもらうなどして、なんだかんだ疲れて寝てしまった気がする

 

 

院生の頃は、仲のいい人が大学の近くにいるというだけでかなり心強かった

結構あの頃は心がしんどくて、彼女が休職中だったのも相まって講義終わりにバイトが始まるまでお邪魔しに行ったり、昼に回転寿司に一緒に行ったりしていた

特別なことをしないで、ゲーム実況を二人で観たり、ちょっといいマカロンを分け合って食べたり、そういったことにかなり救われていた

 

彼女の家は、私の中でちょっとした特別な場所だったんだと思う

 

 

最近はお互いに働いているのでなかなか遊びに行けず、会うとしても彼女の家ではなかった

 

 

恋人との同棲が決まり、来月の頭に退去が決まったと言われたのが今月の中頃で、元々ご飯を食べる予定が月末にあったのでその流れで家に遊びに行くことになった

 

 

久しぶりに足を踏み入れた部屋は、いつが最後だったかわからないけど、確実に最後に来た時とは大きく異なっていた

 

段ボールが積み重なっていて、恋人の荷物も一時的に避難してあった

見慣れないソファに座り、見慣れないローテーブルでお酒を飲んだ

明かりも恋人の持ち物であるオシャレな間接照明をつけて、いきなりサザンを流し始めたのでさすがに怪しい雰囲気すぎて二人で爆笑した

 

特にこれといって特別な話はしなかったけど、もうここに来ることはないんだなぁと思うと不思議な気持ちになった

 

最初は私が暮らしている駅の隣に引っ越すかも!と言っていたけれど、結局条件が合わなくてそこそこ遠いところに決まったらしい

 

しばらく前から部屋にあった回転椅子を粗大ゴミに出すというので、部屋から出すのを手伝った

ゴミ捨て場に置いた椅子に座った彼女を記念撮影したら、なかなか街灯にいい感じに照らされていいものが撮れた

 

 

一人暮らしの家、といったら一番に浮かんでいたのがこの部屋

 

もうここには来ない

 

 

でも、新生活に向けて恋人と色々相談しながら準備をしているのがとても楽しそうだったので、よかったなぁと思った

 

 

新しい家も遊びに行くね