鮮やかな緑色

 

決まった時に聴きたい曲ってあると思う。私だけかな。わかんないけど。

晴れた日に聴きたい曲についてはこの中で書いたけれど、他にも色々な時に頭の中に流れて、聴きたいなぁって思う曲が少なくとも私にはある。

 

そんな特定の曲が聴きたくなる時の中でも、自分でもちょっと変かもしれないなと思うのが、じゃがいもを剥いている時だ。ニンジンでも玉ねぎでもない。じゃがいも。この時点でピンときた人はちょっといるかもしれない。

私はじゃがいもを剥いている時、ASIAN KUNG-HU GENERATIONの『ソラニン』が聴きたくなる。

ずーっと頭の中に流れて、スマホから流してそうそうこれこれ、となる。なんでかというのは説明するまでもないとは思うが、タイトルであるソラニンがじゃがいもの毒だからだ。

この曲はたぶんそこそこ有名だと思う。浅野いにおの『ソラニン』が映画化した際に作品中で登場するバンド曲を、主演である宮崎あおいがギタボで歌って話題になった。

 

その日もじゃがいもを手に取って洗って剥こうとした時に、頭の中に『ソラニン』が流れ始めた。手を一旦洗ってスマホを片手でいじり、実際に流し始める。

曲は知っているものの、映画の『ソラニン』は観たことがない。メインのキャラを誰が演じているくらいまでしか知らない。

それでも漫画は読んだことある。持っていたわけではないので、どこで読んだかなぁと思いながらピーラーをじゃがいもの上に滑らせる。土の匂いがする茶色い皮の下がめくれ、鮮やかな緑色が顔を出した。

うお、ソラニンだ。

最近、キウイのような緑のじゃがいもの写真と共に注意喚起をしているツイートを見た。怖い怖いとは小さい頃から聞いていたけれど、そのツイートでより怖くなったので注意深く皮を剥く。幸い、緑色の部分をもう一回ピーラーをかけたら薄黄色の本来の芋の色になった。このままでいけそうだ。

一つ剥ききる頃には既に曲は終わっていて、その流れのアーティストの曲がストリーミングで流れている。結構聴いてきた曲がかなり偏っているので、実は邦ロック登竜門的扱いのアジカンを私は通ってきていない。知っている曲は片手で数えられる程度だ。それなので、その辺りのアーティストの曲も知らない。名前だけ知っているアーティストの知らん曲が延々と流れている。解散したとだけ知っているアーティストの曲も流れていて、全然知らないのに少し寂しい気持ちになった。

剥いたじゃがいもを2個、濡らしたキッチンペーパーにくるんでレンジでチン。器に出して、最近買ったマッシャーで潰す。ポテトサラダが食べたい。なので作る。初めて作る。そのためのキュウリとベーコンもある。だいぶ前に作ろうと思って買っていたのだが、ここ数日夜勤が多かったので料理をしていなかった。冷蔵庫の隅で少しシワシワになったキュウリをスライサーでシャシャシャッと片付けて塩揉み。ベーコンはカリカリにしたろ!と思ってジリジリ焼いた。

実家のポテトサラダは顆粒だしが入っていた。顆粒だしを母は結構よく使っていて、中でも卵サンドは絶品だった。ポテトサラダも美味しいんだけれど、なんとなく私オリジナルが欲しくてマスタードを入れてみた。結果後悔した。美味しくなくはないけれど、無い方がよかった。

 

 

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無駄に一眼で撮ってみた。

これが『ソラニン』を聴きながら皮を剥いたじゃがいもで作ったポテトサラダです。

 

記憶を辿っていくと、『ソラニン』を読んだのは高校の図書館だったことを思い出した。

あの学校の図書館の漫画のラインナップ、謎だったな、、、

 

食べた後数時間経ってもお腹が痛くなることはなかったので、ソラニンはうまく取り除けていたようだった。めでたし。