ふわり、儚く

職場から少し歩いたところに川があって、今年の春は桜を見に行ったりしたのだけれど。この話を書こうと思っていたら普通にタイミングを逃して忘れてましたね。なんならもう書いたつもりでいた。もうさすがに今更桜の話をする気はさらさらありません。
その川で、毎年今くらいの時期には蛍が行き交うのだと知ったのは桜が立派に咲く前の話。橋の欄干とかありとあらゆるところに蛍のイラストやら看板やらが存在していて、説明書を読むとゲンジボタルが保護されて育てられたのち、放流されたりしているらしい。蛍かぁ。
蛍をみたことはないわけではない。今は疎遠な近所の幼馴染たちと、家族総出で隣町まで見に行った記憶はある。でもこれは、あくまで「見に行った記憶」なわけで、夜に幼馴染たちと車に乗って出かけた高揚感の記憶の方が強いし、なんなら途中で寄った人の少ない夜のマクドナルドの非現実感が一番覚えている。蛍は、まぁ、見たっちゃ見たかな〜〜程度。たぶんよくわかってなかったんだろうね。その後蛍と触れ合ったのはどうぶつの森の画面の中だけです。
あの頃みたいにわざわざ隣町へ車を走らせなくても蛍が見られる。しかももう大人なので夜に出歩いてもなーんも咎められない。普通に興味はあるので見に行こうかなぁと思っていくつか目星をつけた候補の日は、すべて雨だった。そのまま出張へ行くことになり、メッシュのスニーカーをグチョグチョにしたのは前回のお話だが、帰ってきてから蛍のことは正直頭から抜けていた。すると、普段そんなに口数が多くない先輩がわざわざ私のところまで来て「昨日蛍見に行ったんだけど、すごい飛んでて結構感動したよ」と報告に来てくれた。確かにシーズン前に、蛍あそこで見れるらしいですよ〜気になりますね〜とはお話ししていたけれど、まさか報告にきてくれるとは思っていなかった。それに昨日でかなり見られたってことは、今日行っても結構飛んでるのかな、でも明日も仕事早いんだよな、、、と思って天気予報をみると「今夜は晴れ、明日は朝から雨」の予報だった。
行くか、今日。
その日も早勤務だったので夕方前に退社。しばらく我慢していたジェラート屋さんに寄り道などして、日が落ちるのを待つ。なんなら夕飯ももう作って食べたりした。


(古民家ジェラート屋貸切、いちごと牛乳の味)

久しぶりに一眼レフカメラを引っ張り出す。いい機会だものね。そのままチャリを漕いで目的の川まで向かった。
着いた時はまだ陽は落ち切っておらず、人もちらほらいる程度。川は普通に流れているだけ。先輩曰く「完全に暗くなってから飛び始めるし、飛ぶ時間のスケジュールみたいなのもなんとなくあるみたい」とのこと。テーマパークのショーみたいだな。適当な公園にチャリを止め、なんとなく川沿いを歩きながら陽が落ちるのを待つ。
だいぶあたりが暗くなってきたな、と思った視界の隅が一瞬光ったような気がして、思わず「あっ」と声が出る。光ったところを見ると、もう何もいない。するとまた視界の隅がポワッと光って、目で追うと消えてしまう。そうした追いかけっこを少し続けたあと、桜の木の葉がフワッフワッと光りはじめた。いた!!!!慌てて一眼のカメラのスイッチを入れて、向けてみる。しかし、シャッターが切れる前にジーーーっと赤く発光してしまい、蛍が光るのをやめてしまった。ピントの調整のためなのだろうけれど、今はやめていただきたい。あれこれ階層を潜って止めようとしてみるも、諦めた。色々とカメラと格闘した後に顔を上げると、川の流域あたりに光がチラホラと飛び始めていた。ワァ!一眼レフとスマホを駆使して撮影する。


一枚目が一眼、二枚目がスマホ

なに一つ写りませんが、、、、、?

ちなみにスマホの方はライブフォトではあるので一瞬フワッと無数の点の光が浮かぶ仕様になっている。一瞬。

もうこれは心のシャッターというやつでしか、、、と、引き続き散策する。結構近くまで光りながら飛んでくるのもいて、捕まえようと躍起になってる人もそれなりにいた。捕まえてどうするねん。とはいえ蛍ズームの写真ならうまく写る気がする、、、と思って川沿いを探してみる。
地面の上に動かない光が落ちていて、しゃがんで眺めている夫婦がいた。お、これなら私も撮れるのでは?と思っていると「点滅もしてないし、これひょっとして死んでるんじゃない?」と旦那さんが言っているのが聞こえた。そんなことがあるのかな。蛍の生態は詳しくないけれど、なんとなく撮影は避ける。光続けて死ぬの、本当なら少しかっこいいかも、、、?
しばらく歩くと、点滅する光が地面をスィーっと歩いている。おっ、これは!一眼を向けて撮影。結構ちゃんと虫なので、苦手な方は高速スクロールでどうぞ。

アップしてみて思ったけど、暗いね!残念。
蛍をうまく写真に撮るのは、来年の課題にしよう、、、ちょっとカメラの仕様とかちゃんと勉強しよう、、、
それにしても、確かにかなり光がフワフワと点滅していて、とても綺麗。これは結構感動ものかもしれない。地元のちびっこ達も親に連れられて見に来ていて、みんな楽しみにしてたんだなというのも伝わってきていい光景だった。

まぁ写真じゃ何一つ伝えられてませんがね!!!!!!

帰り道、点滅しない光がまだ同じ場所でじっとしていた。それを今回はちびっこ連れのお母さんが見ていて「動かないねぇ、何か思惑があるのかな?」と言っていた。蛍が光るのは、求愛行動のためだ。確かに動かずに光り続けて、何か駆け引きをしている可能性もありますね、、、、、調べる気はないのでこのままにしておくけれど、私はこのお母さんの解釈の方が好きだし、そう思うことにした。