ファンタジーに滑り込み

小学生のころ、5つ歳上の姉の後をずっと追っていた。だから大体ハマるコンテンツは一緒だった。テニプリやリボーン(そう、姉は歴としたオタである)など、それはもうイラストを練習するくらいには好きだった。

だが、なぜか一つだけハマらなかったものがある。
ハリー・ポッターだ。

実家の家族の本棚には小説が何冊も並んでいるし、なんなら原語版も数冊ある。姉に連れられて一作目は映画館で観たし、そのDVDも買ってミニゲームは結構遊んだ記憶がある。だからまぁ賢者の石はストーリーは大体わかる。
それなのになぜか、バッチリハマらなかった。
基本的にませていて背伸びしたがりな性格だったのはわかってるので(じゃないと5個上の姉の後は追わない)、ハマっていれば小学生のうちに分厚い本を読む自分にも酔えただろうに。
なんでだろう。

なんとなくの理由はちょっと思い当たる節がある。ハリポタの分厚い本と共に連想される、ある女の子が休み時間の教室でそれを読む姿。他のものに目もくれず、すべてやりっぱなしのぐちゃぐちゃの机の上で一心不乱に読む姿だ。これは小学校中学年くらいの頃の話で、そんな姿を見たカースト上位のいじめっ子女子軍団はその姿をあざけり、バカにしていた。その軍団のことはかなり苦手だったけど、そんな姿でハリポタにのめり込む彼女に対しても、せめて身の回りはちゃんとすればいいのにと、少し冷ややかに見ていた。なんとなく、それがあったからその作品とも距離を置いてしまったのかもしれない。

もし今だったらそんなにのめり込ませるものがあるのかと逆に興味が湧きそうだけど、カーストにガチガチに縛られたあの頃は、遠巻きに見て「ああはならんとこ」と思うしかなかった。後の中学生活で彼女とは仲良くなったりしたが、ハリポタとの距離はあまり変わらず金ローでやってたら途中からちょっと観る程度で、主要キャラとかくらいはわかるよ〜て感じのノリでしかなかった。

それがなぜか、この一週間で一作目以外全部ぶっ通して映画を観た。
秘密の部屋、アズカバンの囚人、炎のゴブレット、不死鳥の騎士団、謎のプリンス。そして、一度も観たことがなかった死の秘宝(もちろん1、2両方)。アマプラで、何時間かかったんだろう。基本2時間半くらいだったから×7で17.5時間?それプラス、ファンタスティック・ビーストも一作品だけ観たのでちょうど20時間くらいか。やば。

なんでかというと、シンプルにとしまえんの跡地にできたワールドツアーに誘われたからで。せっかく行くなら、なんとなく知ってるレベルは楽しめないよなぁと一念発起したのだった。直前一週間で怒涛の視聴ラッシュをしたのは、夏休みの宿題を最終日まで持て余しがちな私の性格です。やり始めりゃ早い。
だから観始めたらまぁ早くて、休みだった初日は4本観た。一日まるっと潰れた。


結果、もっと早くちゃんと向き合うべきだったという後悔と、今ちゃんと出会い直せてよかったなという感謝の両方の気持ちが生まれた。


謎のプリンスまでは一回は観たことある感じではあったのだけど、ちゃんとぶっ通しで観るとまぁ面白い。伏線がかなりすごいし、キャラの個性もハッキリしている上に、作品を重ねるごとに成長していって性格とか関係性が変わっていくのもなかなか他では見ないよなぁと思う。何より魔法の描写がキレイで、毎回ハリーと同じ反応をしてしまう。ハリーは魔法のせいでこんなに辛い目にあってるのに、キレイな魔法には成長しても目を輝かせていて、この人は本当に魔法が好きなんだな、、と思うなどした。
クライマックスにつれてどんどん暗く辛い展開になっていくけれど、それでも終わり方は結構好きな終わり方だった。『金色のガッシュ!!』にハマった時もそうだったけど、最後の総力戦がたぶん好きなんだと思う。まぁハリー・ポッターガッシュとは比べ物にならないくらい暗い面のある最終戦ですけどね!


とはいえですよ。やっぱりハマるべきは今ではなかったなって思うわけです。もっと少女の頃に出会っていれば、世界が広がったりしたかもしれないなぁと。
いつだったかTwitterで「小学生の頃にもらった『ナルニア国物語』を大人になってから読んで、適正年齢に読んでおけばよかったと後悔した」的なつぶやきを見た記憶があるけど、まさにそれでしかない。ハリー達と同じくらいの年齢の頃に読んで、同じ目線の高さで想像して、応援したり批判したり。そういうことをしたかった。きっと一心不乱に読んでいた彼女は、そういうことを頭の中でしていたんだろうな。そう思うとただただ羨ましく感じる。

でも、こんなに面白いものを放置し続けたままでいなくてよかったとは心から思う。出会い直すきっかけに感謝でいっぱい。なんなら原作も読みたいなとすら思ってる。実家に帰った時に持って帰ろうかな。ただ分厚いんだよな、、、


という話を姉にしたら。
「あ〜私、死の秘宝触れてないんだよね。だから結末ネタバレしないでね一応。まぁ死ぬまでには読むから」
とのこと。姉の後を追ってハリポタにハマってた世界線があったとしても、たぶん最後まで辿り着けてなかっただろうな。

ハリーを通してちゃんと観た結果、ワールドツアーはとても楽しめました、イェイイェイ。
ちなみに推しは、リーマス・ルーピンです。